北朝鮮帰国事業裁判弁護団

北朝鮮帰国事業について、北朝鮮政府の責任を問う裁判の弁護団です。

北朝鮮政府に対する公示送達が実施されました


本日、北朝鮮帰国事業裁判について、東京地方裁判所が、口頭弁論期日を10月14日(木)午前10時からと指定し、北朝鮮政府に対し、期日の呼出状と訴状等一式を公示送達しました。

ついに、北朝鮮政府の人権侵害の責任を問う日本で初めての裁判が始まることになりました。引き続きご注目ください。

以下は原告・弁護団のコメントです。

○原告・川崎栄子

やっとここまで来ました。北朝鮮政府を相手にする裁判は初めてのことです。この裁判が成功することで、北朝鮮政府の人権侵害が断罪され、北朝鮮の国民に自由と民主主義をもたらすための手始めになると信じています。この裁判を早く進めて、北朝鮮の現政権を引きずり下ろし、私の家族と早く面会できることを期待しています。

○弁護団・福田健治

「地上の楽園」との虚偽宣伝により9万3000人以上の在日コリアン・日本人家族を北朝鮮に渡航させ、その後悲惨な人生を余儀なくされた木が朝鮮政府の責任は重大である。今回の訴訟は、北朝鮮政府の人権侵害行為について日本の裁判所で審理する初めての機会であり、大きな意義を有する。10月14日の弁論期日では、虚偽宣伝を行った北朝鮮政府の責任と帰国者たちの被害を裁判所にしっかり理解してもらいたい。

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公示送達の書類が掲示されている裁判所の掲示板前で取材を受ける原告の川崎栄子さん(左から2人目)。

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北朝鮮政府に対する口頭弁論期日の呼出状。

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裁判所による公示送達。




 

 

準備書面

これまで原告が裁判所に提出した準備書面は以下のとおりです。

  • 第1準備書面(2019年7月22日):原告毎の被害実態
  • 第2準備書面(2019年7月22日):被告・北朝鮮政府の法人格および代表者
  • 第3準備書面(2020年3月25日):北朝鮮憲法の改正と被告代表者の変更
  • 第4準備書面(2020年12月28日):国家誘拐行為の内容の整理、準拠法および国際裁判管轄
  • 第5準備書面(2021年3月19日):国家誘拐行為が一体の不法行為であると評価されるべきであること
  • 第6準備書面(2021年6月8日):国家誘拐行為が複数の不法行為であると評価される場合についての予備的主張

 

脱北者の声:高政美(コ・ジョンミ)さん

 今回の提訴に加わった、脱北者の皆さんの声を紹介していきたいと思います。

 最初は高政美(コ・ジョンミ)さんです。高さんは、1960年に大阪市で在日コリアン2世として生まれ、3歳で実母、養父、兄弟らと帰国事業に加わり北朝鮮に帰国しました。2000年に2人の子どもと中国に逃れたものの、2003年1月に中国政府により北朝鮮に送還され、激しい拷問を受けました。2003年11月に再び中国側に渡ることに成功し、2005年から子どもらと共に日本に住んでいます。

 

  • 私の経歴
  • 私が北朝鮮に渡った経緯と北朝鮮到着後の様子
    • 北朝鮮に渡るまで
    • 北朝鮮到着と兄の連行
  • 北朝鮮での私の生活、そして脱北を決意した経緯
    • 北朝鮮での生活
    • 変わり果てた兄との再会と兄の死
    • 帰国者に対する差別
    • 養父の失踪
    • 生きるために:「支援」と「コネ」
    • 飢餓
    • 政治犯と「出身成分」
  • 1度目の脱北から、日本に入国するまでの経緯
    • 1度目の脱北
    • 中国政府による北朝鮮への送還
    • 拘束と拷問
    • 2度目の脱北
    • 日本へ
  • まとめ

 

陳述書

2018年8月9日 高政美

私の経歴

 私は父・高キョンスンと母・金玉先の次女として1960年9月23日、大阪市生野区で生まれた在日朝鮮人二世です。父母は共に韓国済州島出身であり1957年結婚し、子供を3人儲けました。父は1962年10月21日大阪で死亡しています。

私が北朝鮮に渡った経緯と北朝鮮到着後の様子

北朝鮮に渡るまで

 北朝鮮に帰国した当時、私は3歳でした。ですから当時をめぐる状況については、私が長じてから母や養父に聞いた話を基にお伝えします。

 北朝鮮への帰国を決定したのは私の法定代理人である母です。母は在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)構成員から「3人の子供を連れて、どうして生活していけるのか。北朝鮮へ行けば心配なく生活できるし、日本で受けるような差別もない。北朝鮮へ帰る方が良い」と勧められました。また「3年たてば、また日本に戻ることもできるのに、誰一人日本に戻ってきてはいないのですよ」「北朝鮮へ行けば心配なく生活できる」と説得され、その説明を信じて帰国を決断しました。

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弁護団からのメッセージと支援のお願い

 

  • 人生を奪った「北朝鮮帰国事業」
  • 原告の覚悟
  • 支援のお願い

 

人生を奪った「北朝鮮帰国事業」

 弁護士の白木敦士と申します。北朝鮮帰国事業について、北朝鮮政府の責任を問う訴訟の代理人の一人です。

  この度、脱北者の方々を代理の上で、北朝鮮政府を被告として民事訴訟提訴をするに至りました。1959年から1984年にかけて実施された北朝鮮帰国事業の違法性を問う訴訟です。当時、北朝鮮は、日本にいる原告の方々及びそのご家族に呼びかけて、北朝鮮は差別のない幸せな国であり、大学まで無償で保障される、食べるものも、着るものも、寝る場所も、全て満足いくように提供される、まさに「楽園」であると嘘をつきました。北朝鮮帰国事業というのは、原告及びそのご家族をだまして北朝鮮に渡航させた上、日本に帰国することを許さず、北朝鮮という巨大な監獄に約40年も監禁し続けました。

 北朝鮮による事件というと拉致問題を思い浮かべる方は多いと思います。拉致とは、被害者に対して、物理的な強制力を用いて、北朝鮮にという国に出国させたという事件です。これに対し、北朝鮮帰国事業は、被害者を騙すという方法を用いて、北朝鮮に出国させたという事件です。これらは何れも、被害者の真意に反して、北朝鮮に連れ出して監禁を継続する、国家的誘拐行為というべき犯罪行為であるという点で全く同じです。

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提訴に関する報道

昨日の提訴について、各社に報道していただいております。ありがとうございます!(随時追加します。見落としがありましたらご指摘ください。)

(8/21 13:00 TBSを追加)

(8/22 19:00 朝鮮日報・東京スポーツを追加) 

digital.asahi.com

www.buzzfeed.com

www.bengo4.com

www.sankei.com

mainichi.jp

www.jiji.com

news.tv-asahi.co.jp

www.fnn.jp

this.kiji.is

www.tv-tokyo.co.jp

news.tbs.co.jp

www.chosunonline.com

www.tokyo-sports.co.jp 

脱北者の陳述書

昨日20日に裁判所に提出した、脱北者である原告の陳述書です。ぜひご一読いただければ幸いです。

今後、具体的な内容をご紹介していきたいと思います。